「俺の」物語は始まる。

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…で、だ。ここからが重要なんだ。 日本人のゲイが(おそらく)死んでから、この世界に偶然転生して、何の因果か記憶を取り戻したのは何故なのか。 しかも俺はこの世界を知っている。 この先の未来も知っている。 だって、読んだことがあるのだ。前世で流行っていたケータイ小説というプロじゃない個人の趣味の範囲での小説「あなたに恋をする~真実の愛~」っていうタイトルのBLオメガバース小説。ジャンルが特殊なファンタジー物語を、完結まで。 何故すぐに「そうだ!」とおもったのかは、…正直よくわからん。 ただなんでか頭の中に浮かんで、一気に脳内に内容が流れ込んできた…みたいな? とりあえず名前と容姿の描写が「今」の自分と合致してるから、まぁそうかな?と納得してみてるくらいなんだけどね。 事あるごとに悪役としての容姿の描写曰く、乾いた血のような髪色(赤褐色)だの無慈悲で冷徹な瞳(青色)だの出来損ないのオメガらしい丸みのない頬に尖った顎。薄情な彼らしい薄い唇。…などなど。まぁその特徴がまんま鏡の中に映っているのだからそうなんだろう。 だって悪役の偽物王子は表紙イラストに描かれるわけがないし。ヒーローとヒロインの顔だけは分かるけど…現時点では、なぁ。 もしかしたら他の小説の可能性もあるかもしれないけど、(ファンタジー物って内容も名前被りもするから…)一応これで納得した方が精神衛生的に良いので、「あな恋(仮)」ってことにしておく。 チート機能なのかすんなり言葉が話せて文字が読めるっていうのも…は、違うか。いままで元のルマンディオが生きてた分の記憶のお陰だからか。 (なんにしても本編?がスタートするまでに5年も時間があるってのはラッキーだよな。) とっとと逃亡するかな。どうせ偽物だし本物がどっかに居るなら問題な…くわないか。俺そういえばまだ11歳だわ。 しかも小説の設定上、劣性オメガってハンデがあるし。 オメガバースの世界でアルファは優位種だけどオメガは下位種でその中でも男性性でありながら妊娠できる劣性オメガは最下層。ただ反面、優秀なアルファを産む確率が高いから珍重はされてる…だったか。 そんなのがポロっと街に家出したところでならず者に捕まって売られる未来しかねーわ。ヤバいヤバい。 逆に王宮だったらセキュリティ最強だろうし、今はここに留まっておくとしてタイミングを計るのが得策かなー。 でもな…本編が5年後だから寸前で飛ぶにしても生きていくための金策とかに集中する? 11歳の王子って何ができるんだろう。 うーん?なんか、こう…もうちょっと情報が欲しいな。 (本編のスタートってどんなんだったっけ?たしか…) 、
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