「俺の」物語は始まる。

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「それにしましてもマヌルンカ王国のことをお聞きになるとは、近々マヌルンカ国の使節団が来ることをどこかでお聞きになられましたか」 「え、そうなの?使節団?」 「はい。アドルスネイブ公国と交易があったマヌルンカ王国が陛下へ謁見の申し入れをしたそうです。」 「なるほど…」 (使節ってことは、何かしらの目的があってこの国に訪れるってことだよな?お互いを外国と認識しているっていう関係か。そもそもアドルスネイブ公国と交易があった、ってことは直接ランバート国とは交易していなかったってことで…) つまり、この使節団がおそらくランバート国の王子ルマンディオと自国の王子ジークフリートの婚約話を持ってくる、ってことかなー。 まぁ、コッチの世界の現実的な話をするならランバート国は跡継ぎがオメガの王子だけだから後継問題あるもんね。 直系で唯一だから王位は継承するしかないけれどオメガはどれだけ優秀であってもヒート(発情期)があり常に安定した政務活動は難しい性別だ。 その問題を解決するために優秀なアルファを王配にしなくてはいけないけれど 国内の貴族やまして公家公国の誰かと、というのは理想的ではあっても各公国や各派閥のバランスが安定しているようで実際は常に不安定な現状ではどこからも王配を選ぶことは出来ない。 しかもルマンディオはその見目が亡き王妃にも陛下にもちっとも似ていないことから王妃の不義の子じゃないかと噂されていて貴族からの受けが悪い。 成人になる16歳になるまで立太子されることは慣例上ないから唯一の王子であるのにいつまでも立場が確立せず危ういのだ。 しかもニ代前から王がパッとしない三代続けて悪くもないけど良くもないっていう治世なので余計に風当たりが強い。 (ちゃんと今世のルマンディオ本人だった頃の記憶と近代史を照らし合わせてるからねー。死にたくないから知識は詰め込むさ。) 小説の中のルマンディオの苦悩を受け継いでいる立場としては、彼の性格が歪むのはしょうがなかったんじゃないかとおもう。 だから、王家はその申し入れを受け入れて遠い他国からまだ幼いジークフリートを婚約者として輿入れさせ教育したし、ルマンディオ本人も彼に執着したんじゃないかな。 、
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