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「ルマンディオ様、これは何かの縁なのでしょう。明後日に使節団が到着いたしますのでその際にご臨席してはどうでしょうか?」
「離宮謹慎中の立場では現実的じゃないだろう。」
「ですが、ご興味を持たれた彼の国の方々との対話はそうそうあるものでもありませんよ。」
「たしかに、そうかも…」
いっそここでシナリオ潰ししておくのも手じゃないか?
ジークフリートと婚約しなければそもそも本編には繋がらないんだろうし…あっでも…「本物」はちゃんと居るんだよな。
エリオットは俺が記憶をもっているという時点で存在している可能性が高い。
それでいつか、5年後には登場するとしたら…
(この時点でストーリーを潰してしまったら予測不可能な未来になってしまうんじゃないか?)
そしたら、断罪回避は余計に難しくなってしまう。
本編スタート前のことなんか書かれてないからルマンディオ本人がどう動いてそうなったのかもわからない。
だけどやらなかった後悔よりはやって後悔した方がずっとマシ。
「うん、そうかも。そうだね。陛下にその旨を申し入れするから伝えておいてもらえる?」
「かしこまりました。では便箋をご用意いたします。」
「ありがとう」
二コリと頷いてローレンを見送るけれど…はー、電話が欲しいな。それか内線でもいいけど。
こういう、まー小説の中のことだから仕方ないけど前世って便利だったなぁ。
王族だからってのもあるんだろうけどさぁ、一応は親なのに何か言うにしても手紙で届けなきゃいけないって…面倒臭い。
シャンデリアがあって室内を照らす電気があるのに電話は無い。
室内にはトイレもあって簡易的な風呂場もあって常にお湯が出る設備に上下水道完備なのにタオルが無い。濡れた身体を拭くには手ぬぐいが大きくなったただの布。
こういうチグハグは小説の世界の中だからなのだろうか。
だとしたら余計に…現時点でシナリオ潰しなんかしたらいずれ出会って恋に落ちるジークフリートとエリオットの恋物語にどう巻き込まれるのか分かったもんじゃない。
「いちばん現実的なのは…ジークフリートを懐柔することかなー」
ってひとり言ちた。
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