「俺の」物語は始まる。

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謁見の間に同席させてもらった日、俺は目的の相手には出会えなかった。 ヌルマンカ使節団にジークフリートはおらず、王子と名乗る彼は6歳も年上の第2王子だという。 ただ、不思議なことはあった。 彼ら使節団の言語が、俺には理解できるのだ。 通訳が傍に居て、大公の領主も立ち会っているのに それはもうつるんつるん耳に入って自動翻訳機がペラペラ喋ってるくらい違和感なく頭の中に入っていくこの感覚!いや~感動ものよ、するしかないでしょこんなチート能力。 これまで自国の人としか話してなかったから気が付かなかったけど、とんでもねーぞ? 例えるなら、存在も知らん国でも民族でもいいけどそういう彼らの言葉が何の問題もなく理解できるって…!ビバ!転生チート!! もちろん一応現時点では王族なので顔だけは「スン…ッ」にしてるけども心も脳もワッショイ祭りだよ。あーそういえば本もなんでも読めたわ。なんでその時に気がつかなかったかなー…小説のルマンディオ以上の素地とチートを兼ね備えてるとか最強じゃねえか!逃亡成功率あがるーぅ! 俺の脳内も内心も「うふふ(ハート)お花畑素敵だわぁ(ハート)」状態である。 なればもっとじっくり彼らの言葉に耳を傾けたくなる。 特産品のプレゼンからはじまりアピールは事前予習通り。島国国家ゆえに周辺とこれまで貿易を通じて交易はあったものの先代の王の英断により他国との利害以上の軋轢により親交を断ちほぼ鎖国したこと。これもまた離宮に籠って予習してた周辺国のあれだ。 …が、その先王が儚くなった頃より領海侵犯や海賊に頭を悩ませていることは、…初耳だ。 ヌルマンカ現王が即位してからゆうに二十年は経っている。 しかも先王が鎖国した理由はそれ以前からの他国の支配雰囲気からの脱却だったはず。いや、そうか名君と名高かった先王が身罷ったからこそ海を挟んだランバート以外の国が侵略をけしかけているのか。 だからこそ現王は大国ランバートのアドルスネイブ公国の領と希少な特産品を交易をする代わりに自国の安全を保障する契約を結んでいたということでは? アドルスネイブにしたって、高純度の砂糖も品質のいい香辛料をランバート国内で専売特許を得られていたのだから悪くはなかったはず… (なんだっていまさらランバート国と直接交渉なんてしに来てるんだ??) 、
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