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今の彼女に必要なのは理由だ。
世界を壊した自分を許せるだけの何か。
それがコレだ。
異世界へと飛ばされたフィオラを救う、という行為をアリア自身の手で行わせる事によって彼女の中の罪を許させる。
俺の言葉にアリアはグシグシと袖で目をこすり、一瞬瞳を閉じて思考しゆっくりと目を開く。
先程までの弱々しい物ではない。
今俺の目を見るのは俺の知っているアリアの目だ。
見た目とは反対的に強い意思を宿したアリアの瞳。
「……分かりました。私なんかが役にたつのなら、全力で力を貸します。赤い槍にかけてフィオラを助けます。トシヤを守ってみせます」
漸く俺達の知っているアリアが戻った。
赤い槍、だなんてクサイセリフを言っているのがその証拠だ。
俺は背後の皆と視線を交わし、目の前のアリアと握手をする。
「これからもよろしく頼むな、アリア」
「勿論です」
先程までピリピリと張り詰めていた空気が一気に解れ、柔らかい物へと変わった。
神人達によってもたらされた戦争。
一般ではその闘いは今から五日前に終わった物だと記録されている。
しかし俺達の戦争はまだ終わってない。
終わりに向けて今、その一歩を踏み出した瞬間であった。
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