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先輩は、クスッと笑ったように見えたけど、すぐにコーヒーを持って戻ってきた。 ―――先輩、あたしのこと、ちゃんと覚えててくれてるんだ。 「ごめん、うちコーヒーのミルクなくてさ、ちょっと牛乳入れてきちゃった。 はい。今度は準備しておくよ」 と、カップをあたしに差し出した。 ―――今度は…って。 まるで、あの頃に戻ったように、自然に次の話をする先輩に、鼓動が必要以上に動き出していく。 「…せんぱいって、お料理とかもするんですか?」 何か、話さなきゃ…と、質問を投げかける。 「あ~まあ独り暮らし長いからね、大学の時からだから…。 それなりに、適当にはやってるかな?」 .
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