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「…だから、本当にごめんなさい。
あの娘の事とかじゃなくて、あれはきっかけだったかもしれないけど、
あたしたち、もう戻れないと思う。」
それほど人通りがあるという訳じゃないけど、昼間っから修羅場みたいな事をしているあたしたちを、珍しそうに見て行く人たち。
一瞬、彼が掴んだ手の力が揺るんだ隙に、大きく腕を振り払ってほどくと、
「ごめんなさい!!」
と、あたしは走り出した。
「有紗!!」
彼の声が聞こえたけど、振り返ってはいけない気がして、ただ走っていた。
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