* ⑱―2 *

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俺は、彼女の手を取ると、駅とは反対の方へ向かって歩き出した。 会社には、まだ人が残っていて、あの場で泣き出されたら、後から面倒だと思ったし、 第一、どうしてやる事も出来ない。 状況から察するに、話を聞かないうちに、あの男の方へ行くのは避けたかった。 何も言わずに俺に連れられるままの彼女を引っ張って、彼女に気づかれないように後ろを確認すると、あの男が離れてついて来るのが見えた。 「とりあえず、どっか飲み行こっか」 なるべく明るくそう言って、有無を言わさず近くの居酒屋に入った。 .
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