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だから、あの日、一番最初に先輩に声をかけた時と同じ格好で、先輩が机に伏せているのを見た時、
あたしは、今までの想像が(それは時に妄想という)現実に起きた事に無駄にあたふたして挙動不審になり、悩んでいるうちに、結局図書室を閉める時間ギリギリになってしまった。
先輩のそばまで行くと、すぐに声をかけなきゃという気持ちと、ちょっとだけ、先輩のそばにいたいという気持ちがあたしの中で天秤にかかる。
あの日と同じ、気持ち良さそうに目を閉じている先輩に、ソッと手を伸ばそうとした時、パチッと今まで閉じていた目が開いて、あたしが伸ばしかけていた手が、先輩の手に捕まった。
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