もう一度好きと言って

* ⑥ *

｢えっと、よろしくお願いします｣

あたしが、その展開に気をとられ、少しぼんやりしていると、一緒の新人井上沙希(ｻｷ)があたしの様子を窺うように声をかけてきた。

｢あ、ごめんなさい。こちらこそ、よろしくお願いします｣

あたしが、笑顔を向けると、彼女は緊張した顔で笑い返した。

｢とりあえず、基本的な事はあたしが説明するけど、あたしも来たばっかりだから、分からない事もあると思う。
一緒に頑張っていこう｣

あたしも、入ったばっかの頃は、とにかく不安だったな…

なんて、少し思い出しながら、ちょっとでも気持ちが軽くなるように、と、彼女に声を掛けると、

さっきより、少しだけほぐれたような笑顔を見せてくれた。

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