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しばらくして、図書室の扉が遠慮がちに静かに開いた。 ふと視線を向けると、入ってきたのは高木先輩だった。 あまりの驚きに、あたしの目は釘付けになり、まばたきをしたら夢のように消えてしまうみたいな気がして、先輩を見つめていた。 先輩は、あたしに以前のように片手を上げて挨拶すると、いつもの席に向かった。 そしてすぐに机に伏せてしまった。 ―――え? なんだか分からない気持ちで、そのまま図書室を閉める時間がきた。 図書委員の先輩が、 「日誌書くから、美木さんは見回りと、あの人起こして。 鍵閉めとくから、そのまま帰っていいよ」 と、言ってくれる。 .
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