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合格もあって浮かれていて、あの子の気持ちなんて考える余裕なんかなかったらしい。 気づいたら泣かせていて、次に気づいたら抱き締めていた。 俺の腕の中で、身動き一つせず、もちろん、俺に身体を預けることもしないで、全身に力が入っているのが分かる。 あまりにも動かないから、息も止めているのかと思って、そっと腕を離して顔を覗き込む。 ハッと我に返ったように俺を見上げて、みるみる顔を赤くして俺から目を反らした。 俺はまた少し吹き出してしまったけど、彼女は気づいていないようだった。 .
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