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俺の祖父は冒険家として世界を飛び回っている。
そんな祖父から一体、俺に何を送ってきたというのか。
割れ物注意、珍しい土産物でも見つけたか?
なら、つきねにも見せてやろう。
そう思い、俺は自室へと引き返した。
両手で抱える程の荷物だが、何が入ってるんだか。
「……荷物……どうしたの? それ」
部屋に戻って荷物を見たつきねが聞いてきた。
「ん、ジイちゃんから送られてきたんだけど……開けてみるか」
荷物を置いて封を切る。
割れ物と書いているから良い壺かなにかか?
「これは……」
箱の中に入っていたもの、それはかなり大きな卵だった。
「でかい卵だな、しかも」
「……動いてる」
なんだろうな、すごく嫌な予感がする。
ダチョウの卵か何かか?
勘弁してくれ、鳥類ならまだしも、でかい爬虫類とかは勘弁だぞ。
「ヒビが」
しかし動き方は激しくなる一方だ。
どんなに念じても止まることはないだろう。
ガタガタ揺れる卵にビシという音と共にヒビが入るまで、時間はそう掛からなかった。
「ジイいちゃん、勘弁してくれよなマジで」
バキン、と音を立ててバラバラに砕ける卵。
中に居たのは動物でもなく、鳥類でもなく、爬虫類ですらない。
赤い髪、赤い角、赤い尻尾、赤い翼、赤い鱗。
秘部は赤い鱗で覆われ判別はできないが、赤ん坊の恐らく女の子がそこにいた。
「な、な、な、なんだこれ」
「……赤ちゃん?」
「でも、いやうん、確かに赤ん坊だけど、なんだこの角と翼、尻尾まで生えて、そもそもなんで卵から」
安らかな寝顔で眠る、よくわからない生き物。
その生き物が不意に目を開けた。
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