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「どうする、つきね」
「……どうする? 理緒」
どうしたらイイんだこの子、まて冷静になれ俺。
この子は誰の子だ、いや、その前に人間……じゃないよな。
ジイちゃん、なんてものを俺に寄越してんだよ。
「ん?」
その時それを見つけたのは不幸中の幸いというべきか。
「手紙?」
赤ん坊の横、正確には割れる前の卵の横にあったものだろう手紙に、俺は恐々ではあったが手を伸ばした。
赤ん坊の開いた目と俺の目が合う。
黄色というよりは綺麗な金色の眼に俺の顔が写っていた。
「……手紙?」
「ああ、うん、ジイちゃんからだ」
ええ、なになに?
前略、孫へ元気にやっとるか?……前置きはいい、要点はどこだ。
えーっと……探索中の地域の地元民から竜人遺跡と呼ばれていた遺跡の奥にあった竜人の卵と思われる物の化石を送ります。
部屋のオブジェにでもどうじゃ? ああそうそう、世紀の大発見だから誰にも言ってはいかんぞ。
祖父より。
PS、つきねちゃんとは上手くいっとるか? 早く孫のか
「化石じゃねえし、世紀の大発見孫に送ってんな! あと余計なこと書いてんじゃねえよ!」
ここに居ないジイちゃんに言っても仕方ないがこの憤りどうすればいい!
竜人ってなんだよ、そんなもん居るわけが、って今生まれましたけどね! ああもうままならん!
とりあえずなんかイラっとするから手紙はゴミ箱にダンクシュートだ!
「……なんて書いてあったの?」
取り乱していた俺にいつもの冷静さで声をかけてくるつきね。
「この子がどこぞの国の遺跡で見つけた竜人の子だって事くらいかな……てかジイちゃんは生まれることは想定外だったみたいだ」
しかし問題点はそこじゃない。
「あうー」
聞こえてきたのは赤ん坊の声。
「どうしようなあこの子、とりあえず母さんと父さんに事情を話さないとなあ……まてよ? なにか忘れてる気がする」
その時、再びインターホンのチャイムが鳴り響いた。
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