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『…午後からは…頑張りまぁす…』
『そうしてください。
しっかりしてくださいよ。』
スッと畳が擦れる音がして、しんちゃんが立ち上がる気配がした。
これから、コートで待たせている、チームメイト達のもとへ急ぐのだろう。
口調と同じように、仕事も丁寧にこなす彼なので、当然だ。
…が、いくら待っても
離れていく足音がしない。
『( ……? 行かないの…?)』
たっぷり5秒は待ち、
おそるおそる、枕から顔を持ち上げようとする……と
「バサリ」
音がして、闇。
『ちゃんと布団かぶって、しっかり寝なさい。
…午後は、絶対に来いよ。』
布団越し。耳元。
くぐもった不機嫌な声が聞こえて、
足音が離れていった。
息苦しさに、布団から這い出て
『ぅぬあっ』
と、訳の分からない声をあげる頃には、
「パタン」と入り口の扉が閉まっていた。
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