2011.8.7.02:58

3/13
前へ
/52ページ
次へ
坂田は通信員に電文を読み上げるよう指示 通信員は、動揺を隠せないようで、どもりながら電文を読み上げた その内容は、《みょうこう》より朝鮮半島に近い位置で警戒にあたっている《あたご》から危急を告げるものだった 「『我、朝鮮半島より本州へ向けて飛行する多数の飛翔物体を確認。航空機にあらず。』以上です!」 まさか、北朝鮮がミサイルを発射したのか? 坂田の背に冷や汗が浮き出る 仮に弾道ミサイルだとすれば、一刻も猶予はない 朝鮮半島から日本本土まで、10分もかからないのだから 坂田は艦内マイクを手に取り、ベッドの上で熟睡しているであろう隊員達に通達する 「総員起床!第一種警戒態勢!繰り返す!総員起床!第一種警戒態勢発令!」 どこかで扉を荒々しく開ける音がした にわかに艦内が賑やかになる すぐに幹部陣がCICにやって来るだろう その前に情報をまとめておかねば 「梅木一曹!本艦に探知はないか!?」 坂田は電測員の梅木一等海曹に訊ねる 梅木一曹は、青白く光る画面を注視しながらコンソールを操作する 「‥‥出ました。本艦より、距離600、方位283、数6。速度とレーダーの反応からして、中距離弾道ミサイル【ムスダン】です!」 「間違いないか!?」 坂田に梅木は間違いないと応え、さらに目標があと6分で日本本土上空に差し掛かる事を報告した
/52ページ

最初のコメントを投稿しよう!

45人が本棚に入れています
本棚に追加