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坂田は通信員に電文を読み上げるよう指示
通信員は、動揺を隠せないようで、どもりながら電文を読み上げた
その内容は、《みょうこう》より朝鮮半島に近い位置で警戒にあたっている《あたご》から危急を告げるものだった
「『我、朝鮮半島より本州へ向けて飛行する多数の飛翔物体を確認。航空機にあらず。』以上です!」
まさか、北朝鮮がミサイルを発射したのか?
坂田の背に冷や汗が浮き出る
仮に弾道ミサイルだとすれば、一刻も猶予はない
朝鮮半島から日本本土まで、10分もかからないのだから
坂田は艦内マイクを手に取り、ベッドの上で熟睡しているであろう隊員達に通達する
「総員起床!第一種警戒態勢!繰り返す!総員起床!第一種警戒態勢発令!」
どこかで扉を荒々しく開ける音がした
にわかに艦内が賑やかになる
すぐに幹部陣がCICにやって来るだろう
その前に情報をまとめておかねば
「梅木一曹!本艦に探知はないか!?」
坂田は電測員の梅木一等海曹に訊ねる
梅木一曹は、青白く光る画面を注視しながらコンソールを操作する
「‥‥出ました。本艦より、距離600、方位283、数6。速度とレーダーの反応からして、中距離弾道ミサイル【ムスダン】です!」
「間違いないか!?」
坂田に梅木は間違いないと応え、さらに目標があと6分で日本本土上空に差し掛かる事を報告した
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