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「部署発動、対空戦闘用意」
「対空戦闘用意!」
島田が命令し、坂田が復唱する
警鐘が艦内中に鳴り響く
「艦長。我々はブリッジへ向かいます」
「うむ」
副長と航海長は艦長に敬礼すると、本来の持ち場である艦橋へ向かった
そして、目標群αと識別された【ムスダン】のうち、
TrackNumber1420~1422を《あたご》が、TrackNumber1423~1425を《みょうこう》が迎撃する事となった
「TrackNumber1423~1425の諸元入力開始。前部VLS発射管一から三番まで開口。イルミネーター(誘導)レーダースタンバイ、最大出力」
《みょうこう》のAN/SPY-1Dレーダーは、通常状態では最大500㎞以内の目標を探知する事が可能だ
しかし、600㎞離れた場所を飛行している弾道ミサイルを捉えるには、ミサイル防衛(MD)状態へ移行し、出力をあげなければならない
その際は、探知範囲は千㎞に及ぶのだ
「前部VLS発射管、一から三番を開口」
「諸元入力完了」
「イルミネーターレーダー、オールグリーン」
各担当要員が坂田に報告する
「艦長、準備が整いました」
坂田は初めての実戦の緊張で声が上ずらないように気を付けながら、島田に報告する
島田は鷹揚に頷き、ギュッと握り拳を作り、命令する
「打ち方始め!」
「スタンダード、発射、始め!」
「前部VLS発射管、スタンダード発射、サルボー!」
坂田が島田の命令を受けて、さらに部下に命令する
坂田の命令を受けて、ミサイル員が発射ボタンを押す
その直後に、艦体前部にあるVLSの発射口より爆炎が、少し遅れて、三基のSM-3スタンダード弾道弾迎撃ミサイルが躍り出る
爆炎が深夜の洋上を焦がし、一瞬だけ《みょうこう》の姿が顕になった
そして発射された迎撃ミサイルは、中距離弾道ミサイル群へと突進していった‥‥
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