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「‥2、1、マークインターセプト!」
沈黙がCICを襲った‥‥
誰もが口をつぐんで話さない
微動だにしないまま、坂田は報告を待った
「‥‥ダメだ」
唐突に梅木一曹が呟き、やおら振り向いて大声で怒鳴った
「TrackNumber1425の反応あり!迎撃に失敗‥‥したかと」
坂田は血の気が引いていくのを感じた
“迎撃失敗”‥‥
その四文字があまりにも重く坂田にのしかかる
「各員、直ちに原因の詳細を調べよ」
島田の指示を受けて、CICは先程とうってかわって、蜂の巣をつついたかのように賑やかになる
砲術科のミサイル員は、前部VLS発射管三番より発射されたSM-3の最後の状況を把握に動き、通信員が関係各所と無電を交わす
「梅木一曹、他は迎撃に成功したんだな?」
島田が電測員の梅木一曹に問いかけた
「はい、TrackNumber1420~1424の反応は消えています」
「そうか‥‥」
六発中五発の迎撃に成功‥‥
通常であれば、上出来とも言える
自衛隊の練度は、世界最高とも呼ばれている
自衛隊に常に求められるのは、百点満点だからだ
しかし、逆に言えば完璧でなければ、認められないとも言えるのだ
「TrackNumber1425、あと58秒で小松基地に到達します!」
梅木一曹が計測されたデータを読み上げた
手空きの者はメインモニターに注目する
ムスダンを示す光点は、能登半島の付け根に存在する小松基地へ、着々と近づいていく
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