戦国時代へ

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俺が着いた時には手遅れだった。 正直、戦場は幾つも渡ってきたから慣れというものがあった。 それなのに。 足が震えた。 全身血だらけで俺の同僚を殴り付けるそいつは、戦場で我を忘れるあの人みたいだった。 撫で付けた前髪を乱し、 鋭い目付きと粗暴な動き。 服装で違うと分かるのに、名前を呼ばずにはいられなかった。 「小十郎…様。」 バチィ!! 凄まじい雷光に目が眩んだ。 「…っ!!」 思わず目を背けた。 「ぐぁぁ!!」 悲鳴と、ドサリと倒れる音がした。 ゆっくりと目を覚ますと、男が倒れている。 そして。 その男の背後には先程思い浮かべた顔があった。 「小十郎…様。」 「大丈夫か?酷い有り様だな…。」 辺りを見つめ、小十郎が眉間に皺を寄せた。 体を震わせながら同じように回りを見渡すと、そこは見慣れた戦場そのものだった。 「とにかく、負傷者の手当てを急ぐ。ソイツは拘束しておけ。」 テキパキとした指示に、俺は無言でただ頷くしかなかった。
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