戦国時代へ

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目を開けると、明らかに家とは違う天井が映った。 状況を確認するために身を起こす。 「…ッ!」 肩に痛みを感じ、視線を落とすと包帯が巻いてあった。 誰かが治療してくれた…? 痛む肩を押さえて回りを確認していると。 「まだ痛むのか?」 良く耳に馴染む声が聞こえた。 「小十郎!?」 振り向くと、小十郎がいた。 が、何処か違う。 同じ顔だが…全くの別人の様な不思議な感覚に襲われた。 「…アンタ、誰だ?」 警戒しながら質問した。 「てめぇこそ、何者だ?」 同じ言葉が返ってきた。 俺の主君にそっくりだという言葉も。 「アンタこそ、俺の家族とよく似た顔してんぞ…。」 不思議な感覚だ。 小十郎と話してんのに。 一体どうなってるんだ… すると、小十郎似の男が立ち上がった。 「俺の名は片倉小十郎だ。主君がお前達の目が覚めたらすぐ連れて来いと仰られた。 来てもらおうか。」 「なん、だと!?」 今、片倉って!小十郎って! 同じ名前!?しかも全く同じ!? 小十郎似の男の言葉に驚きを隠せずにいると、フッと笑われた。 「混乱してんのはこちらも同じなんだがな。」 クックソ!! 悪口まで小十郎と同じかよ!! 若干苛ついてからある事に気づいた。 「そういやアンタ…確かさっき "お前達"って言ったよな? 小十郎はどこだ…?」 「俺ならここに居るが?」 ククッと笑われ、苛つきが怒りに変わった。 「ふざけんな!!」 男の胸ぐらを掴んで殴ろうとした。 が、肩に痛みが走り腕に力が入らない。 結局、殴る筈だった奴に体を支えられてしまった。 「クソッ…。」 俺は悪態をつきながらその男に運ばれる事になった。 俺に似た、コイツの主君の所へ。
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