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?「ぅ……ここは…」
酷い頭痛と、身体中の傷みで目覚めた俺は、まだ覚醒していない頭で今の状況を確認していた
ひとまず、この場所は見てわかる通り、木々が空を、そして大地さえも覆い隠す森であることはわかる
次に自分について
名前は覚えている
雨宮青空<アメミヤ.アオゾラ>
それが俺の名前だ
知り合いからは、『アオ』と呼ばれている
あとはわからない
なぜこんな場所にいるのか
ここがどういった場所なのか
俺は一体何をしていたのか
何も覚えていない
ひとつ気がかりなのは、なぜ俺はこんなにも酷い頭痛と体の傷みを受けているのだろうか
まさか、空から落下したのか?
いや、それはないはずだ
俺は飛行機や空を飛ぶ物が苦手だ
空から落下したというのはまずないだろう
それにしても…
アオ「玲は近くにいないみたいだな…」
玲とは、俺の大切な親友にして、家が隣の幼馴染み
十中八九、いや、誰もがイケメンだと言うほどの美形で、通称『歩くフラグ建築士』
それだけじゃなく、運動もでき、頭も良く、性格なんてそれはもう良いなんて言葉じゃ足りないくらいだ
そんな奴と幼馴染みで親友
きっと素敵な毎日を過ごしてると誰もが思うだろう
でも、そんなことはない
毎日毎日、女子からの僻み、悪口、仲介役のお願い
男子からはなぜか敵視され、友達はできず
俺に告白してくれた女の子も、みんな俺のことを玲と仲良くなるための踏み台としか見ていない
本気で俺を好きになってくれた女の子なんて、一人もいない
下駄箱や家に手紙が入ってたとしても、それは玲の下駄箱に入りきらないからだ
つまり、良いことなんてひとつもないのだ
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