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次の日は晶も学園には行かないというので、俺達は一緒に勉強した。
朝飯はもちろん晶が作ってくれた。俺も手伝いたかったのだけれど、朝がどうしても苦手な俺が起きる頃には既に出来上がってしまっているのだ。
勉強を一通り終えてからは、俺はネトゲの素晴らしさを晶に語って聞かせたが、晶はどうにも理解出来ないようだった。俺の勢いに若干おされていたのが面白い。
夜、夕食を終えて、晶は「食料の買い出しに行ってくる」と言って出て行った。てっきり寮に備え付けてあるスーパーのような所で買い物をするのかと思って、俺は普通に晶を見送った。
でも、それっきり深夜になるまで晶は帰ってこなかった。
いやな予感がする。 また晶は誰かを殴りに行ってしまったのだろうか? 習慣となっているものは簡単には直らない。現に俺も今は、晶と一緒に居るということ以外はすっかり引きこもりの習慣を取り戻してしまっていた。
晶のことが気になって、どうしても眠れない。
深夜2時、俺は悶々とソファに座って晶を待っていた。
がたっ と、晶の自室からそこそこ派手な音がした。
俺はすまないと思いつつ、いつも鍵がかけられていない晶の部屋の扉を慌てて開く。
「晶?!」
晶は昨日と同じく血だらけで転がっていた。違うのは、晶にも所々殴られた跡があって、自身の血もついているということだ。
「....ぅ、真...?なんで、起きて....」
「そんなことどうでも良いだろ!早く、治療しなきゃ...!」
俺はどの部屋にも備え付けてある、救急セットを取り出し晶の応急処置に向かう。
上半身の服を脱がせると、所々に打撲や切り傷があって痛々しい。血を丁寧に拭き取り、消毒液を染み込ませた脱脂綿で傷口に触れると、晶が少し息をつめたのが分かって切なくなる。
何やってんだよ...
頭が混乱してぐるぐる回る。手だけはなんとか動かしているが、どうにもやりきれない気持ちでいっぱいで、無意識に頬には涙が伝っていた。
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