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      「あっ!」 二年生の春って。 新しい環境に慣れ始め生活に余裕が出来て遊びたくなるくらいの時期。 幼馴染み且親友の大ちゃんと俺は、中学高校とは違って夏休み近い期間ある専門学校の春休みを満喫していた。春休みは独り暮らししている俺の家に大ちゃんが略毎日泊まり込み二人で遊んでいる。勿論課題だってちゃんとやってる。 今日は課題をやる為に必要な参考書を買いに本屋に来た。行き慣れた本屋に入るとすぐ大ちゃんは雑誌コーナーへと走った。 大ちゃんはかなりのお洒落さんで可愛らしいルックスを把握しフル活用している為尋常じゃなくモテる。将来は美容系(詳しい事はあやふや)の仕事に就きたいらしく美容師を目指している俺と同じ専門学校に通っている。大ちゃんが昔からそういう事に興味がある事は知っていた。小中高と一緒に居れば当然解る事。でも俺は高校二年の夏、始めて知った事があった。 「今月はゆうとが表紙だ!」 大ちゃんが迷わず手に取った一冊のファッション雑誌。その表紙をクールな表情で飾っている一人のモデル。 大ちゃんは中学から彼の大ファンだったらしい。長く幼馴染みをやっていても知らない事があるものだ。そして何故もっと早く大ちゃんが彼のファンである事に気付かなかったのだろうか。 全く関係無い相変わらずクールな彼を睨みつけ、隣にあった今話題のアイドルがピンクのクッションを抱き締め微笑んでいる表紙の雑誌を取った。大ちゃんはそんな俺を気にとめる事無く嬉しそうに雑誌を読み始めた。 「はぁ…」 彼は"ゆうと"と言う芸名で活躍しているモデル。本名は公式には発表していないがそれなりに出回っている。俺らと同じ歳で中学生の時から長身を生かし男性向けファッション雑誌のモデルとして活躍していたが最近ではコマーシャルからドラマや映画。CDまで出している。テレビをつけて彼の顔を見ない日は無いと言っても過言ではないだろう。そのくらい活動の幅を広げている。おまけに彼はかなり偏差値が高くて有名な大学にも在学中で高校生の時にはバスケや弓道、ダンスなど様々な大会で名を残している。所謂彼は世にいう完璧な人なのだ。そのくせバラエティ番組に出ている所から人懐っこいふわふわした性格や真面目過ぎてバラエティ向けじゃない所がまた笑いを誘ったりし、老若男女関係無く虜にしている。勿論彼はそれをはなにかけることなどしない為また人を虜にする。  
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