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    「………」 幼馴染み且親友の大ちゃんにも言えない秘密。それは… 「…涼介」 中三の冬。このマンションに引っ越して来た。ホントは(なんとなくだけど)一番端の部屋がよかったけど空いてないって不動産の人に言われたからその隣の部屋を借りる事にした。荷物類を運び終えたその日の夕方、隣の部屋の住人に挨拶に行くと玄関の扉の向こうに立っていたのが、この笑顔だった。始めは失礼な事に彼がモデルだなんて知らなかった。興味無かったし。でも、逆に彼はそんな俺を気に入ってくれて仲良くなるのは簡単だった。気付けばお互いに大切な存在になって恋人になったのは高一の夏。彼の誕生日の前日に。 彼、モデルの"ゆうと"は俺の家の隣に住んでいておまけに(こっちが本命)俺の恋人って事。大ちゃんにどころか誰にも言えてない。言えない。 モデルだけの肩書きならまだしも、今現在彼はアイドルのような人だ。俺の存在が明るみに出たりなんかしたらもう俺の命なんていくつあっても足りなくなりそうだ。彼は彼で親友一人と親にだけは俺の存在を話しているらしいけど俺はそれどころか"ゆうと"のファンという素振りも見せた事ない。"ゆうと"の話題には出来るだけ乗らないように適当に流し興味を示さない。一度でも乗ってしまうと簡単にボロが出てしまいそうだから。それに俺は彼のファンではない。恋人なのだ。 俺が望めば彼が載っている雑誌なんて捨てる程貰えるし、CDだってポスターだって。でも絶対に貰ったりしない。だって俺は彼のファンではないから。雑誌なんて貰ったり買ったりしたらファンと変わらない。俺はファンではなく恋人だから。 「んっ…//」 手首を引っ張られ唇を重ねる。 嗚呼幸せだ。生で彼を見るのはもう一週間振りくらいになる。一週間会えてなかっただけでこんなに寂しかった。一人で居る時間なんて殆ど無かった筈なのに。やっぱり彼だけは違う。 「裕翔…」 「ふふっ。可愛い涼介」 そう言って笑う方が可愛いよ。 頭に浮かんだその言葉は、彼の唇のせいで声にはならなかった。  
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