第一章

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でも2つ疑問が残った。 1つはなんで小山があんなに真っ青な顔でうつ向いているのか。 あと1つは…なんでこんなにも胸がもやもやするのか。 もやもやの正体も分からない。 「慶ちゃん、ちょっと」 と手招きしている手越を見て、もやもやはより一層胸で膨らんだ。 …なんだこれは。 自分で自分が分からなくなるなんて。 2人が楽屋から出ていった後、さらに増すもやもやに俺は半分苛立ちを覚えた。 その後は何もなかったかのように撮影が始まり、終わるとそれぞれの帰路についた。 …あのもやもやは一体なんだったのだろう。 …あの時、手越と小山はなんの話をしていたのだろう。 帰ってきて考えることはそればかりで。 ホントなんなの。自分じゃない。 ぐるぐる渦巻く思考を取っ払うように、鳴り響く携帯。 …こんな時間に誰だろう? ディスプレイに表示された名前は“小山慶一郎”。 一瞬胸が高鳴った。…ホント俺じゃない。 「もしもし」 「あ、もしもし。しげ?俺。小山」 「うん知ってる。で、どうしたの?こんな時間に」 「いや…今日の事で…その…ごめんね?結果的にしげに黙ってる形になっちゃって」 .
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