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そして開く。
俺は恐る恐る目を開ける。
(…!?)
驚いたことに目の前には、下を向いたまま佇んでいる少女の姿があった。
幽霊やら怪物やらを想像していたのだが、俺のその予想に反して目の前に現れたのがただの幼い子どもだった為、俺は半ば安堵しながらその少女に話し掛ける。
「お嬢ちゃん、こんな夜遅くにどうしたんだい?」
しかし、少女は何も答えない。
ゆっくりとこちらに近づいて来る。
随分妙だ。
いやな予感しかしない。
(そういえば…普通、少女がこんな時間に出歩いている方がおかしいんじゃ…。)
俺は目を凝らしてもう一度少女を注意深く見てみる。
(おや?)
右手に何か持っているようだ。
あれは…万年筆だろうか?
俺が使っていたやつに似ている。
というか俺のだ。
「それ、俺の…」
そう言いかけた時、一番気づいてはいけない事に気づいてしまった。
少女の服には返り血が付いていたのだ。
そして万年筆には何かの肉片のようなものが…
それに気づいた瞬間、俺は閉じるボタンを縋る思いで押していた。
だがその間にも少女は、獲物に狙いを定めるが如く、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
(ヤバいヤバい!!閉じろ!!お願いだ閉じてくれ!!)
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