卒業旅行

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「ねぇねぇお母さん」 学校から帰るなり、早紀は母親の彰子に声をかけた。 「ん? なぁに?」 彰子は取り込んだ洗濯物をたたみながら振り返って答える。 「あのさぁ、ヒトミンっていたじゃん」 「ヒトミン……?」 「二年生のときに転校していった結城瞳ちゃん」 「ああ、結城さんね」 彰子は思い出して笑顔になった。 「で? その結城さんが何?」 「遊びに来ないかって」 「へぇ」 「いいよね?」 「いいよね……って、どこなの?」 「岡山県だよ」 「おかや……」 一瞬彰子の顔が曇った。
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