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「別に霊感の強いヤツなんか、珍しくもなんともないだろ? ただ……俺にはないけどさぁ」
「ありがと……」
美絵は嬉しくて思わず胸が熱くなる。
「そうだよ美絵。今更美絵のこと気味悪いなんて思ったりするわけないじゃん」
「だって……」
ここに来てから初めて、美絵が笑顔になった。
「ねぇせっかくだから、私たちも魚釣りに行かない?」
早紀が笑顔で言った。
「うん。でも……」
「何? やっぱり何か感じるの?」
「うん……」
「それは、この建物から?」
「それが……よく分からないの。大抵いつもは踏み切りの遮断機の横とか、
アパートの二階の階段の辺りとか、一部なんだけど、
ここは島全体……っていうか、漠然としててよく分からないの」
「でも……確かに感じるんだよね?」
「うん」
早紀の問いかけに、美絵は頷いた。
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