霊の存在

7/15
前へ
/716ページ
次へ
「じゃあ帰ろうか」 「えっ!?」 突然の早紀の台詞に、美絵は驚いてその顔を見つめた。 驚いたのはもちろん美絵だけではない。 「ちょっと待ってよ早紀」 今まで黙っていた瞳が声を出した。 「いくらなんでも、まだ何もしてないのに」 「ごめんヒトミン。でも美絵がこれじゃあ楽しめないよ」 早紀は美絵の肩に手を乗せて、瞳を見つめる。 「そりゃそうかもしれないけど、今日の為にせっかく準備したのに」 瞳は焦った。 「いいの早紀」 「え?」 「私は大丈夫だから」 「美絵……」 「いつもの時とは感じが違うから、ただの気のせいかもしれないし、 せっかくみんなが楽しみにしてたのに、私一人のせいで中止になんかなったらヤダよ」 「美絵……」 「魚釣り行こう」 美絵は無理をして笑顔を作った。
/716ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3180人が本棚に入れています
本棚に追加