岡波地区

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途中から生い茂った雑草がなくなり、土の道が現れたから、かなり歩きやすくなった。 雨が止んだことも五人を精神的に楽にしてくれた。 そろそろ坂を上りきったところまで来ると、左手に廃墟が現れる。 今にも崩れ落ちそうな佇まいは、人が住まなくなって久しいことを告げていた。 「気味悪いね」 綾が無意識に呟く。 「うん」 健太郎がそれに答えながら、自然と廃屋の中に視線を向けた。 ほとんど同時に全員が同じように廃屋の中を見る。 そこにいた……。男の幽霊が……。 足をこちらに投げ出して座っている男の首には、梁から垂れ下がったロープが喰い込んでいる。 「うわぁああああああああ」 最初に叫んだのは浩太だった。 全員がむしろ幽霊よりもその声に驚いて、後はもうパニックである。 我先にと岡波の方向に向かって走り出していた。
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