呼ぶ声

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綾と男の子が二人で、こっちに向かって山道を下ってくるのが見える。 「綾!」 早紀は娘が生きていることに、とりあえずホッとした。 けれどその視界にとんでもないモノが入って、早紀は真っ青になる。 あれは人? いったい何人いるのだろう……? まるでゾンビのような人々が群れをなしてその後を追ってきているのだ。 早紀は綾を助けるべく、夢中で階段を駆け下りた。 そのまま裏口に向かい外に飛び出す。 大きなオブジェが乱立する中、早紀は娘が下って来ている山道に向かって走った。 男の子に手を引かれた娘がそこまで駆けて来ている。 「綾!」 早紀が叫んだ途端、二人は驚いた顔をした。 「ママ!」 綾も母を認識して叫ぶ。 母と娘は駆け寄って抱きしめあった。
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