呼ぶ声

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「アナタたちだけで逃げなさい」 早紀は娘の目を見つめて頷く。 「え? 何言ってるのよママ」 「いいから早く!」 早紀は大声で怒鳴った。 「そんなこと出来るわけないでしょ!」 母親っ子の綾である。 普段は少し構ってきすぎるから、正直ウザいって思うこともあるけど、 世界で一番大好きな人なのだ。見捨てていけるわけがない。 「バカ!! 早く逃げて!!」 「ヤダよ!! ママを置いていけるわけない!!」 「早紀! こっちだ!」 「え?」 「え?」 「えっ……?」 そのとき突然声がして、三人は声のしたほうを振り返る。 「早紀こっちだ!! 早く来い!!」 「だ……誰なの……?」 早紀は目を見開いて、声の主を見つめた。
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