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すぐそこ……。
大きな石碑があって献花台がある。
かつてあの崩落事故のあった洞窟の前。
「早紀こっちだ!」
姿は見えないけど、ハッキリと名前を呼ぶ声が聞こえる。
どこかで聞き覚えのある懐かしい声。
その正体が敵か味方かも分からないのに、早紀は立ち上がると痛む足を引きづりながら歩き始めた。
すぐに綾と健太郎が身体を支える。
辿り着くと、洞窟の前の斜面をコンクリートで固めて造った慰霊碑と祭壇の隙間に、人が一人入れるだけの穴があいていた。
「まさか、ここに入るの?」
綾が不安気な声で聞く。
健太郎と早紀も、一瞬悩んで顔を見合わせた。
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