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もう一度振り返ると、島民たちは刻一刻と近づいて来ている。
とはいえ他にどうすれば良いのか?
今なら建物の東側を回り、港のほうに逃げることは可能である。
しかし……
結局それ以上の逃げ場はなく、海を泳いで逃げることになってしまう。
普通の状態でも、他の島まで泳ぐことは難しいのに、まして足を挫いている今、それは限りなく不可能に近い。
「早紀! 早く入って来い。俺を信じろ!」
穴の中からまたしても懐かしい声。
三人はもう一度顔を見合わせた。
ゾンビ化した島民の群れは、もうそこまで近づいて来ているから、悩んでいる時間はあまりない。
早紀は一度大きく息を吸ってから、勇気を出して穴の中へと足を進めた。
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