呼ぶ声

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痛む足を引きづりながら、薄暗い穴の中に入る。 しゃがまなければ頭を打ってしまうから、早紀はそのまま座り込んだ。 決して広くないスペース。 入り口から入ってくるだけの明かりで見回すけど、他にドアらしきものはなく、それこそ袋のネズミである。 早紀を呼んだ声の主の姿もなく、不安な気持ちでたまらず叫びそうになった。 すぐに続いて入って来た綾が、抱きついてきてなかったら、おそらく早紀は叫んでいただろう。 最後の健太郎がしゃがんで入って来ていて、突然前に倒れた。 「健太郎くん?」 綾が驚いて名前を呼ぶ。 健太郎が振り向いて自分の足元を見ると、 青白い手が足首を掴んでいた。
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