呼ぶ声

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「うわぁああああああ」 健太郎は目を見開いて悲鳴を上げる。 「健太郎くん!!」 その悲鳴に綾も慌てた。 「中に入れ! 早紀引っ張って中に入れろ!」 反響するからどこから聞こえたのか分からないけど、また名前を呼ばれて、早紀は綾と共に健太郎の身体を掴んで引っ張った。 「んぁあ!」 上半身を早紀と綾に、足を幽霊に掴まれて引っ張られているから、健太郎の口からは痛みによる声が上がる。 健太郎自身も必死で中に入ろうともがいた。 「あと少しだ。頑張れ!」 また声がする。 早紀はその声に応えるように、必死で健太郎の身体を引っ張った。 「もうちょっとだ! もうちょっとで!」 三人で力を合わせ、健太郎の身体のほぼ全てが穴の中に……。 そして幽霊の掴んだ手が、穴の中の陰に入った瞬間だった。
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