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海上保安庁から警察に連絡が行き、すぐに本土から警察が来ることになった。
現場保存と言われたけど、綾はそれを無視して茶和子の身体を抱え起こして抱きしめる。
改めて涙が溢れて、止まらなかった。
「チャコちゃん……。可哀想に……」
「ママ……私のせいなの」
「え?」
「私が大和台の幽霊屋敷から金森美絵さんの幽霊と一緒に、由希子って子の幽霊をここに連れてきたから……」
早紀はショックを受けた。
大和台はかつて早紀の実家があった町である。
「綾……なんで……?」
「彫刻展にいったとき、帰りに立ち寄ったの。そのときに幽霊が私に覆いかぶさってきて……」
「綾……」
「ごめんねチャコ。本当にごめん」
綾はもう一度茶和子に謝った。
親友だった……。
ううん。これからも親友なのだ。
ずっと……いつまでも、
いつか私も死んで、チャコの元に逝く日が来るだろう。
(その日まで、私たちずっと親友だよチャコ。ずっとずっと)
いったん抱きしめていた茶和子の身体を離し、泣きながらその顔を見つめる。
綾には茶和子が微笑んだように見えた。
――ずっと親友だよ。綾。
綾は心の中で茶和子の声を聞いて「うん」と頷いた。
了
ご愛読有り難うございました。
後書きとお詫びとオマケに続く
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