君の隣に私はいない

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周りを見回しても、文化祭だからって浮かれてるのか、 友達同士、恋人同士で楽しそうに、みんなはしゃいでる。 そんな楽しそうな声を遠くに聞きながら、二人の間に流れる無機質な空気に私は緊張する。 顔を見てないけど、きっと今の梓くんはつまらない、 って顔で隣に座ってるんだろうな。 校舎の裏に設置されたベンチに腰をかけて、 模擬店で買った食べ物を半分こしてるカップルを見て、素直に羨ましいと思う。 二人とも幸せそうだし、楽しそうでいいなぁ、って。 しばらく、その光景を眺めていたら、ふいに目の前に人影が出来る。 「雨芽、文化祭周らないの?」 「う、うーん…」 チョコバナナを片手に、 顔を覗きこんできた真璃ちゃんの手にあるチョコバナナから漂うチョコの甘い香りに、 夏祭りをふと思い出す。 そういえば今年も梓くんと行ったけど、花火だけ見て終わったな。 そんなことを考えながら文化祭を見て周りたい衝動に駆られるけど、 梓くんも居るし、なんだかここから動いちゃいけない気もして、迷っていると 「その子と周れば?」 模擬店の方をを見て冷たく言うと、 梓くんは校舎の方へスタスタと歩いて行ってしまった。 「あ、」 「それなら、永瀬!雨芽のこと借りてくね!」 梓くんの背中にそう向かって叫ぶと、真璃ちゃんは早く行こうと私の手を握る。
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