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「人はいないね」
「……そのようね」
「……魔法の泉はルフランの中央部にある。整備された道は見当たらないから、あの森を越えよう」
と、魔法地図(マジックマップ)を見ながら、ヴァイン。
「分かった」
2人は、早足で歩き始めた。
「呪いを解く力を持つ魔法水なんて聞いた事ないよ。古の神聖魔法によるものかな?」
「多分、そう」
「そっか。……信じられない力だ」
「……あたしには、あなたの人の良さが信じられないわ。
小村の村人全員が謎の呪いに苦しめられているからって、モンスターの巣窟(そうくつ)と化したこのルフランへ、解呪の効力を持つ魔法水を無報酬で取りに来るなんて!
それは、あの村を治める領主が軍隊を用いてすべき仕事であって、あなたがすべき亊じゃないわ。
あなたにとっては、立ち寄っただけの無関係な小村じゃない」
「僕は、困った人を見捨てることが出来ない性分なんだよ」
「全く……」
ファミは呆れ顔だが、嫌悪感は浮かんでいない。
「何だかんだ言っても、ファミも来てるじゃないか。ファミもお人好しだよ」
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