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「あたしは、命の恩人のあなたに恩返しをしてるだけよ」
と、わずかに頬を赤らめて、ファミ。
「ほんとかなぁ」
「ほんとだって!」
「……しっ!」
ヴァインは、緊張した顔で、腰の鞘に納めた愛剣エルンティングの柄に、手をかけている。
「何?」
「かすかな音が聞こえた」
「ギャアアアァァァァアッ!」
突然、森の中からグリーンの小鬼(グブト)の群れが現れ、恐ろしい叫び声をあげながら、2人の探索者へ襲いかかってきた。
「モンスターだ! 援護して!」
スカイブルーの髪の少年が、エルンティングを抜き放ち、ダブト群へと疾走する。
「了解。─―ファイアボール!」
ブロンド美少女が手にした魔法の杖(マジックロッド)の先端に輝く、魔法の青水晶(マジック・ブルークリスタル)の先に大きな火球が生じ、前方に突き進んだ。
火球は、先頭のダブトを直撃する。
「ピーーーーーーーーーーーーーーッ!」
灼熱した炎に包まれたダブトは、甲高い悲鳴をあげ、砂地に突っ伏した。
「せいっ!」
ヴァインが、2番手のダブトの肩口から、腕を切り落とす。
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