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「生雷-ショウライ-先生、またやってるんですか?放っておけば良いじゃないですか、そんな奴」
生雷と呼ばれたその老人は、剣を自分の前で構えている。
そして、その向かい側には1人の少年。彼もまた、老人に向かって剣を構えていた。
そんな2人の姿を少し離れて眺める1人の少女。
学校での、こんな光景は幾度となく当たり前の様に繰り返されている。
「これ、そんな言い方はするものではない。教え子の相手をするというのは、身を…」
「あぁもうっ!!聞き飽きましたよ、その言葉。身をもって相手の力を知り、同時に成長の喜びを実感できる素晴らしい一時だ。でしょう?」
「ほう、見事に全てを覚えているとはな…どう思う、佐弥」
「そうですね…炎浬にしては凄いと思いますよ。まぁ、俺もその言葉は耳にタコですが」
そう言いながら、佐弥は炎浬を見る。
それに対し、炎浬は佐弥を睨み付けながら、べぇーっと舌を出した。
「あいつ…っ!!先生、俺とのが終わったら、炎浬と手合わせして下さい」
「てめっ…佐弥ぁっ!!」
「ふむ、たまには成長を見ねばな…のう、炎浬?」
「うぐぅぅ…」
炎浬の言葉が詰まる姿を見て、佐弥はふふんと鼻で笑う。そして、前に向き直ると「さ、始めましょうか…先生」と言った。
生雷も佐弥へと真っ直ぐ視線を向けると、小さく頷いた。
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