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「では、」
と小さく佐弥が呟いたかと思えば、その姿は既に生雷の懐へと入っていた。
しかし、わかりきっていたかのように、生雷の剣は向かってくる刃を完全に受け止めていた。
キィン…ッという音が辺りに響く。
「さすが先生、太刀筋は見えてましたか」
「師としては当たり前のことであろう?」
ガンッという音と共に2人の距離が離れる。
「そろそろ、卒業間近であったか…佐弥」
「…出来る程の力量があるかはわかりませんけど、」
と佐弥は高く飛び、上から剣を振り下ろす。
「まだ精進する必要があるかと…っ!!」
再びぶつかり合う互いの剣。
「その志は炎浬にも見習わせたいものだのう」
そう言いながら生雷は剣を大きく振ると、巨大な竜巻を発生させた。
至近距離からの竜巻は、佐弥の体を一瞬で遠くに飛ばす。
そのまま、佐弥は地面に叩きつけられた。
「ぐっ…ぅぅ」
悲痛の声が、佐弥の口から漏れる。
「佐弥っ!!」
そう叫びながら炎浬は駆け寄り、彼の体を抱き起こす。
身体中傷だらけだった。
「竜巻だけで、こんなに傷がつくのかよ…佐弥、しっかりしろって」
「うるせぇな…心配すんなって」
「べっ…別に心配なんか…してないし…」
そんな2人の元に生雷が歩み寄り、彼の目線が炎浬に向く。
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