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井戸の中には
何も無い
希望も願望も渇望も
気力も活力も知力も
何も無い
深くて暗くて
何も見えない
底には何かあるかもしれない
弱々しい地下水が
隠れるように湧いているのかもしれない
深くを覗こうとすればするほど
拒絶の闇は濃くなる
意識も思考も可能性も
何も無い
僅かに光が当たる
入口しか分からない
すぐ先からは
長い影が延びている
どこまで見ても影
そもそも
「底」自体が存在するのだろうか
無い「底」の上に
何かの存在を求めるなんて
愚かしい話じゃないか
だけど
確かめるために
小石を投げ入れる気などは起きない
この奥を見たいのかい?
止めた方が良いよ?
無意識の闇は拒み続ける
だから何も見えない
何も無い
古びた懐中電灯を持った手を
闇に延ばす気さえ起きない
ただ立って中を覗き込んでるだけ
意識も思考も可能性も無い
全てはこの中に
吸い込まれてしまったから
知りたいのか知りたくないのか
中にあるのか何も無いのか
ただ地上に見えるのは
闇の霧に浮いた
空の部分だけ
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