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最初は嫌々ながら引き受けたコーチだが、実際に教えてみるとそれなりに楽しさを感じてしまっていた。
神楽や沙那は別にして、他の3人が俺の指導で徐々に変わっていくのを見るのが、自分の事のように嬉しかったのだ。
常に危険と隣り合わせだが、それはもう諦めた。俺には安息の地など無いと思うしかない。
そんな事を思っているうちに、今日の練習が終わった。
その帰り道
「デレデレしすぎじゃない琢磨?」
「新しい犠牲者を作るつもりか貴様は?」
一緒に帰る穂香と神楽に攻められていた。
「酷い言い方だな……犠牲者の意味がわからんし、そもそもデレデレする余裕なんてあるかよ!」
俺的にはデレデレなどしていられない。俺の病気を知っている穂香や神楽は一定の距離を保ってくれるし、あの沙那ですらそこは気を使ってくれている。
だが、残りの3人については俺の病気について知らないのだ。知らないからこそ、普通の感覚で距離を縮めてくる。気を抜いている暇などありゃしない。
当然、デレデレする余裕も無いのである。
「そういえば……沙那はどうした?一緒に帰るって喚いていたよな?」
「縛ってきた」
「あ……そう……」
躊躇する事なく即答の神楽だ。無事誰かに見つけてもらえるように願いながら、余計な危険分子が居ない事に安心もしてしまう。
その頃、道場では……
「はぁはぁ、お姉様……こんな目隠しなんて……身動き出来ず視界も奪われて、なんでしょうか?この抑揚感は?」
変態が1人悶えていた。
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