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「で、今日の晩御飯は何だ?」
「俺が作るの確定かよ……別にいいけど……」
「いいなー琢磨の手料理。普段は料理なんてしないのに」
「自分の為だけに料理なんてしてられるかよ。1人ならコンビニ弁当で充分だ……っか、穂香は暇なのか?」
「ん?どうして?」
「暇ならウチで料理でも……」
「都合良く使おうとしているのか?最低なチキンだな貴様は」
「残念でした。今日はお母さんの仕事が遅いし、お父さんが定時に帰ってくるからウチでご飯作らないといけないのです」
「そうかそうか、それはとても残念だ。という事は、私と2人っきりだな」
「なっ!?うぐぐっ……」
安い挑発に乗る穂香だ。
そんな龍虎……龍鼠の戦いなど相手にもせず、俺は頭の中で献立を考える。
「冷蔵庫の中も空っぽだし、買い物して帰るか神楽」
「了解だ主夫」
「誰が主夫だ!」
「うぐぐっ……夫婦のような会話だよ……」
そんな平和な会話をしながら歩く俺達を遠くから見ている影があったのに気付けなかった。
「あれは……くくっ……どうしてこんな所に……それに、アイツは……はっ、面白くなりそうだぜ」
その影は遠くから邪な歓喜に歪んだ笑みを浮かべていた。
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