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程よい所で俺と翔馬は組手を終える。
互いに正面に立ち礼をして顔を上げると、翔馬の周りにはタオルを持った部員が囲んでいた。
「えっ?俺コーチ……そいつ部外者……」
切ない現状が視界に写る。
「仕方ないよ。翔馬くん格好いいもん」
「なんという世の中の矛盾!格好よければ何をしても許されるのか!?」
「そんな事無いよーほら」
「はーいダーリン。あたしが夜なべして縫ったタオルだよ。使ってくれるよね……あははっ」
「……どうして有希はヤンデレっぽいんだ?」
「うーん……正攻法じゃダメだからとか言ってたよ」
「いや、逆効果だろありゃ」
その通り、這い寄る有希の頭上へ拳を落とす翔馬だった。
そんないつも通りの2人を見ていると、1人の女の子が近寄ってきた。
「はい先輩。タオルです」
「て、天使ちゃん……」
女性恐怖症がバレないように集中して、彼女からタオルを受け取る。
「凄いですね先輩!現役引退しているのにあんなに動けて!」
少し興奮しているのか、いつもより距離が近い天使ちゃんだ。
「あぁ……ありがとう……」
「もっと色々と教えて下さい先輩!お願いしますね」
そう言って彼女はみんなの所に戻っていった。
「ふーん……色々ね……教えちゃうんだ……可愛いもんね彼女……天使ちゃん天使ちゃんって、彼女の名字は『天使(あまつか)』ですよーだ」
「何、お前まで病んでるんだ?」
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