望まぬ再会

3/25
前へ
/275ページ
次へ
程よい所で俺と翔馬は組手を終える。 互いに正面に立ち礼をして顔を上げると、翔馬の周りにはタオルを持った部員が囲んでいた。 「えっ?俺コーチ……そいつ部外者……」 切ない現状が視界に写る。 「仕方ないよ。翔馬くん格好いいもん」 「なんという世の中の矛盾!格好よければ何をしても許されるのか!?」 「そんな事無いよーほら」 「はーいダーリン。あたしが夜なべして縫ったタオルだよ。使ってくれるよね……あははっ」 「……どうして有希はヤンデレっぽいんだ?」 「うーん……正攻法じゃダメだからとか言ってたよ」 「いや、逆効果だろありゃ」 その通り、這い寄る有希の頭上へ拳を落とす翔馬だった。 そんないつも通りの2人を見ていると、1人の女の子が近寄ってきた。 「はい先輩。タオルです」 「て、天使ちゃん……」 女性恐怖症がバレないように集中して、彼女からタオルを受け取る。 「凄いですね先輩!現役引退しているのにあんなに動けて!」 少し興奮しているのか、いつもより距離が近い天使ちゃんだ。 「あぁ……ありがとう……」 「もっと色々と教えて下さい先輩!お願いしますね」 そう言って彼女はみんなの所に戻っていった。 「ふーん……色々ね……教えちゃうんだ……可愛いもんね彼女……天使ちゃん天使ちゃんって、彼女の名字は『天使(あまつか)』ですよーだ」 「何、お前まで病んでるんだ?」
/275ページ

最初のコメントを投稿しよう!

384人が本棚に入れています
本棚に追加