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休憩も終わり、またいつもと変わらず3人を中心に指導する俺。
そんな俺に翔馬が近寄って話しかけてきた。
「おい、大丈夫なのか?」
「何が?」
「神楽さんの事だよ」
「何が?」
「見ろよあれ」
そう言われて俺は神楽の方を見た。
そこにはストレッチと称して身体にまとわりつく沙那を撃退する神楽の姿。
「ありゃ、相当ストレス溜まってるぞ。気を付けろよ」
「気を付けるって?あの2人の問題だろ?俺には関係無い!」
私は無関係です!と言い放った瞬間、翔馬が危惧していた事が起きてしまう。
「琢磨、組手をするぞ!貴様がコーチになってから、1度も組手をしていないだろう。私にも指導を受ける権利がある!」
「そこまで言わんでも……」
「異論は認めぬ!」
「はい……」
それはとても恐ろしい形相で……俺の言葉の辞書には「はい」以外の文字が一瞬で消されてしまった。
「言わんこっちゃない……いくら指導の優先順位があるとはいえ、露骨なんだよお前は」
「んな事言われても……」
「言い訳は神楽さんにしろ!聞く耳を持ってくれたらだがな」
そう言われて神楽の方を見ると、指の間接を鳴らしながら目に見えるオーラをまとい仁王立ちしている。
「大人しく瞬殺されてこい」
翔馬の言葉通り、開始早々ダッシュしてきた神楽は、フランケンシュタイナーを俺にくらわし、瞬殺でKOされたのであった。
「……せめて空手技にしてくれ」
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