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「なあ、一応聞くけど……沙那は?」
「両手両足に10kgダンベルを縛り付けてきた」
「………………」
とりあえず、沙那の攻撃による命の危険は無いらしい。
「そう言う貴様こそ、穂香ちゃんはどうしたんだ?私が着替えるまで一緒に居ただろ?」
「ん?勝負に負けたから、今日の部活後に神楽に付き合う事になったって言ったら、素直に先に帰ったぞ」
「ふーん……素直にね……」
歯切れの悪い言い方をしながら、俺の方を見る神楽。だが、その視線は俺を見ているのではなく、それより後ろを見ているようだった。
気になった俺は振り返り、神楽の視線の先を見る。
「……はわっ!」
「……………………何してる穂香?」
俺と視線が合った瞬間、看板に隠れる穂香だったが、その動きはとても鈍く身体全体を視認出来てから隠れていた。
「ストーカーか穂香ちゃん?」
「ち、違うもん!こ、この店に用事があっただけで……偶然……そう!偶然だね2人共!」
そう言いながら隠れている看板を指差している。
「そっか、その店に用事があるのか。まさか、コスプレ喫茶に用事があるとは」
「はひっ?」
頭の弱そうな声をだし、看板を確認する穂香。そこには、ナース服やらバニーガールの衣装を着た女性が挑発的な姿勢で写っていた。
「ちちちちち違っ、違うの!違うんだよーーーっ!」
顔を真っ赤にし、身振り手振りで必死に否定しようとしているが、端から見ると怪しげな動きにしか見えない。
「そろそろ勘弁してやってくれないか?」
「そうだな、こんな場所でフリーズされても困るしな」
同情という優しさが穂香を解放してくれたのだった。
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