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神楽の優しさに救われた穂香は、ストーカーから邪魔者へと進化を遂げた。
「ふむ、私もうかつだった。今度は2人っきりの時に約束させよう」
「そうはさせないもん!」
「俺の意思は?約束させようとは強制なのか?」
そんな俺の言葉など2人共一切聞かず火花を散らしている。
それでもデートを邪魔された神楽が、本気で怒っていないのは表情を見ただけで分かってしまう。
火花を散らしながらも浮かべる笑み。だが、その笑みは俺から見れば不敵な笑みにしか見えない。
何と言うか……余裕の笑み?
穂香の邪魔など眼中に無いと言わんばかりの笑みに見えたのだった。
それに対して穂香は、迫力の欠片もない小動物のように神楽を睨んでいた。
まったく勝負にならない。
神楽が余裕の笑みになるのも仕方ない事だと納得してしまうぐらいだ。
「少し歩き疲れたな。休憩でもしないか?ラブホで」
「ララララララブホ!?わ、私達は高校生なのに!?えっ、あっ、んー……2人が入るなら私も入る!」
「いや、入んねーから」
見事なまで神楽の手のひらで転がされている。
「神楽もお前をからかっているだけなんだから、いちいち反応するんじゃねえよ」
「そ、そんな事を言われてもー……」
「何を言っている?私は本気だぞ」
「変なところで本気出すんじゃねえよ!」
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