a fortune paper。

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徒歩10分程の所にあるわりと大きな神社に到着した俺達は、お参りをするために見ただけで列ぶ気が失せてしまいそうな長蛇の列に列んだ。 「やっぱここは多いな」 露店も出ていて、子供から年配の方まで多くの人で賑わっている。 「ね、今年は何お願いするの?」 内心彼がどんなお願い事をするのか気になった。 「そんなの内緒に決まってんだろ」 「えぇー」 「ほら、順番きたから」 話しているうちに俺達の順番が回ってきた。 同時におさい銭を投げ入れ、鐘を左右に振る。 胸の前で両手を合わせて目を閉じた。 お参りを終えた俺達は、近くの御神籤売り場で巫女さんに200円を渡して御神籤を引く。 破れないように丁寧に開く。 「あっ!俺、大吉だ」 喜んで跳ねていると、彼も。 「俺も大吉」 柔らかな笑顔を見せて 御神籤を俺に見せてくれた。 「なになに…恋愛、自我を抑えれば大吉だって」 「へぇ」 「果たして俊に自我を抑えられるのかな?」 少しいじわるく言うと、彼の頬はフグのようにぷくっと膨れた。 それから俯いて、ぼそっと何か言った。 「あははっ、冗談だってば」 そう言って宥めると、頬を少しずつ赤らめながら彼は 「お前の前だと俺は…いつも空回りして、素直になれなくて、迷惑かけて…だから…」 「だから?」 寒さのせいで真っ赤になった手で俺のコートの端をちょこっと握って。 「今年は少しだけ素直になってやってもいいって思っただけだっ」 握っていたコートの端から手をぱっと離された。
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